古物商取得マニュアル
古物商許可は、手数料19,000円と数枚の書類で、自分ひとりでも取れます。行政書士にたのむと数万円かかる手続きですが、自分でやれば実費だけ。やることは大きく3つ。警察署に電話する、書類をそろえる、持っていく。ここから順番に見ていきましょう。
売るために買うなら許可が必要で、自分の物を売るだけなら不要です
判断のものさしは、ひとつだけ。もうけが出るかどうかではなく、売るために買ったかどうかです。
| こんなとき | 許可 | わけ |
|---|---|---|
| 古着屋で買った服を、ネットで売る | 必要 | 売る目的で仕入れた中古品だから |
| リサイクルショップで買った家電を転売する | 必要 | 同じく、売る目的の仕入れ |
| フリマアプリで買った物を、また売る | 必要 | 相手が個人でも、転売目的なら同じ |
| 自分で使っていた物を売る | 不要 | 売るために買ったわけではない |
| 友だちにタダでもらった物を売る | 不要 | 買い取っていない |
| 店やメーカーから新品を買って売る | 不要 | 中古品ではない |
許可なしで中古品の転売をつづけると、古物営業法違反です。罰は3年以下の拘禁刑か、100万円以下の罰金。しかも処罰を受けると、その後5年間は許可がとれません。
つまり、許可を取るのは損ではなく、仕事を守るための保険です。
許可がとれない人もいます。申請の前に、ここだけ確認しましょう
お金を払ったあとに不許可になっても、手数料は返ってきません。先にチェックしておくのが安全です。
- 破産の手続きが始まって、まだ権利が回復していない人
- 重い刑(禁錮以上)を受けて、終わってから5年たっていない人
- 窃盗、背任、遺失物横領、盗品の買い取りなどで罰金を受けて、5年たっていない人
- 暴力団員などに出される命令を受けて、3年たっていない人
- 決まった住所がない人
- 古物商の許可を取り消されて、5年たっていない人
- 病気や障害のために、お店の仕事に必要な判断や意思のやりとりがきちんとできないと判断される人
- 営業所の管理者を選べない、はっきりした理由がある人
未成年の人は、とくに注意してください。営業について大人と同じ行為ができない未成年者は、そのままでは許可がとれません。ただし、結婚している人や、親などの法定代理人から営業の許可を受けている人は、許可を受けられます。そのときは、戸籍謄本や法定代理人の証明書などが必要で、未成年者登記も要ります。
中学生が自分で取りたい場合は、まず保護者と話して、申請前に警察署へ電話で相談しましょう。
この一覧は、神奈川県警察の公式ページの内容をやさしく言い直したものです。細かい条件は、申請する警察署で確認してください。
売りたい物がどのジャンルか、13個の中から選びます
申請書には、扱う商品のジャンル(品目)を書きます。法律で決まっているのは次の13個です。
| 品目 | 身近な例 |
|---|---|
| 美術品類 | 絵画、掛け軸、骨董品 |
| 衣類 | 洋服、着物、布団 |
| 時計・宝飾品類 | 腕時計、指輪、めがね |
| 自動車 | 車本体、タイヤ |
| 自動二輪車及び原動機付自転車 | バイク、スクーター |
| 自転車類 | 自転車、その部品 |
| 写真機類 | カメラ、望遠鏡 |
| 事務機器類 | パソコン、コピー機 |
| 機械工具類 | 家電、工具、家庭用ゲーム機、工作機械 |
| 道具類 | 家具、楽器、CD、DVD、ゲームソフト、おもちゃ、ぬいぐるみ、トレーディングカード |
| 皮革・ゴム製品類 | かばん、くつ、ベルト |
| 書籍 | 本、雑誌 |
| 金券類 | 商品券、切手、乗車券 |
決め方は2ステップです。いちばん多く扱う予定のジャンルを、主たる品目として1つ選ぶ。ほかに扱いそうなジャンルは、いくつ選んでもOKです。
たとえば服が中心なら衣類、雑貨いろいろなら道具類を選ぶのが一般的です。CDやDVD、ゲームソフトは道具類に入ります。テレビや冷蔵庫などの家電と、家庭用ゲーム機は機械工具類です。ぬいぐるみやトレカ(トレーディングカード)も、おもちゃやカードの仲間として道具類です。表の例は目安なので、どこに入るか迷う商品は、警察署で聞いておくと安心です。
アイドルグッズやアニメグッズは、物によって変わります。缶バッジ、キーホルダー、フィギュア、アクリルスタンドなどの小物は、道具類になることが多いです。Tシャツなど着る物は衣類、写真集やグッズ本は書籍、CDやDVDは道具類。こうした小物の分け方は公式ページに細かい例がないので、扱う物が決まったら警察署で聞いてみてください。
なお、お店やメーカーから直接買った新品を売るだけなら、古物にはあたりません。個人から買った未使用品を売るときは、古物として扱われます。
申請は、電話ひとつからはじめて、許可証を受け取るまで5つの動きです
- 営業所をうけもつ警察署に、電話する
- 窓口は、警察署の防犯係や生活安全課です。名前は都道府県で少し違います。
- 「古物商許可の申請をしたいです」と伝えて、行く日を決めます。
- 賃貸の部屋で申請したいなど、自分の事情はここで軽く相談しておくと、あとがスムーズです。
- 必要な書類をそろえる
- 住民票などは、発行から3か月以内のものを使います。次の項目に一覧があります。
- ネットで売るなら、ショップのURLの資料を用意する
- 申請のときにショップのURLを届け出るので、ネットショップは先につくっておきます。
- 「そのURLは本人が管理している」と示す資料が必要です。
- 警察署に書類を出して、手数料19,000円を払う
- 払い方は警察署で決まっています(証紙や会計機など)。行く前に電話で聞いておきましょう。
- 不許可になっても返金はありません。出す前に、書類の見直しを。
- 審査を待って、許可証を受け取る
- 審査の標準は約40日です(土日祝日はふくみません)。県によっては30日のところもあります。
- 通ると警察署から電話が来るので、許可証を取りに行きます。
都道府県によっては、オンラインで申請できる手続きも進んでいます。ただし、手数料の支払いで警察署へ行く場合もあるので、お住まいの都道府県警察のページで確かめてください。
お金は、手数料の19,000円がメインです。このほかに、住民票や身分証明書を役所でとるときの手数料が、1通ずつかかります。金額は市区町村で違います。
書類は6種類。本人が管理者もやるなら、1人分だけでOKです
| 書類 | どこで手に入る? | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 許可申請書 | 警察署や県警のホームページ | 記入例がのっていることが多いので、見ながら書きます |
| 住民票の写し | 市区町村の役所 | 本籍が書いてあるもの。外国籍の人は国籍等が書いてあるもの |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村 | 運転免許証などの身分証とは別物。破産していないことなどを役所が証明する書類 |
| 誓約書 | 警察署や県警のホームページ(様式) | 「許可がとれない人」にあてはまらない、と約束する書類 |
| 略歴書 | 自分で書く | 最近5年間の経歴を書きます |
| URLの使用権限の資料 | ネットで売る人だけ | ショップのサービスが出す使用承諾書や、設定画面の画面写真など |
管理者は、営業所ごとに1人選ぶ決まりです。個人で始めるときは、自分が管理者をかねられます。その場合は自分の分だけで済みます。別の人を管理者にするときは、その人の分の住民票、身分証明書、誓約書、略歴書も必要です。
身分証明書の取り方は、地域によって運用が変わることがあります。出すまえに、申請する警察署で最新のやり方を聞いておくと確実です。
略歴書は、この形に当てはめて書きます
神奈川県警察が公開している略歴書の項目をもとにした、書き込み用のひな形です。警察署から様式をもらえる場合は、そちらを使ってください。
略歴書
氏名(ふりがな) :
現住所(ふりがな) :
電話番号 :
生年月日 : 年 月 日( 歳)
本籍 :
職歴
期間 自 年 月 日
至 年 月 日
内容 :
期間 自 年 月 日
至 年 月 日
内容 :
その他(賞罰等) :
上記のとおり相違ありません。
年 月 日 氏名
書くときのポイントは3つです。
- 書く範囲は、最近5年間です。
- 勤め先やアルバイト、学校など、5年間の動きを順番に書きます。あいている期間があれば、無職や学生などと書いておくと安心です。
- 風俗営業などに関わった経歴があるときは、くわしく書く決まりです。
略歴書は、本人と管理者それぞれの分が必要です。
許可がとれたあとも、守る約束が3つあります
ショップのページに、許可番号をのせます
ネットショップの下の方か、特定商取引法のページに、次の形で書きます。
○○県公安委員会 第○○○○○○○○○○○○号 あなたの名前(または法人名)
許可証を受け取ったら、すぐに設定しましょう。のせ忘れると、指導の対象になります。
買った物と売った物を、台帳に残します
古物台帳には、いつ、だれから、何を、いくらで買い、だれに売ったかを書きます。保存する期間は3年。盗まれた物が流れたとき、警察が調べるための記録です。エクセルや専用ソフトでの管理もOKです。
買う金額の合計が1万円未満なら、相手の確認と帳簿への記入は、原則しなくてもよいことになっています。ただし例外があります。バイク、ゲームソフト、CDやDVD、書籍は、金額に関係なく、確認と記入が必要です。
2025年10月1日からは、エアコン室外機やヒートポンプ式の電気温水機器、電線、金属製のグレーチングも対象に加わりました。
ネットで買い取るときは、本人確認がきびしくなります
身分証のコピーを送ってもらうだけでは足りません。書留郵便や、公的個人認証など、法律で決められた方法で確認します。やり方は法改正で変わることがあるので、警察庁か警察署で最新の内容を確かめてください。
売るだけなら、ふつうの注文の流れで大丈夫です。
つまずきやすい疑問に、先に答えておきます
賃貸マンションの部屋を、営業所にしてもいいですか?
基本的にはできます。ただし、賃貸契約書に「居住専用」と書いてある場合は、大家さんや管理会社の使用承諾書が必要になることが多いです。申請の前に、警察署へ確認しましょう。
許可が出る前に、仕入れた物を売ってもいいですか?
許可証を受け取るまでは、営業として売ることはできません。ショップの開設や商品ページの準備は、いまのうちに進めてOK。売りはじめるのは、許可がとれてからです。
開業届も出す必要がありますか?
古物商許可と開業届は、別の手続きです。個人で事業として始めるなら、開業した日から1か月以内に、税務署へ開業届を出します。
警察署へ行く前に、このチェックリストでぬけ漏れを防ぎましょう
- 売る目的で中古品を仕入れる予定がある
- 「許可がとれない人」にあてはまらないことを確かめた
- 未成年の場合は、保護者と話して、必要な手続きを警察署に確認した
- 扱うジャンルを決めた(主たる品目と、ほかの品目)
- 営業所の場所を決めた(賃貸なら、承諾書が要るか確認した)
- 警察署に電話して、行く日を決めた
- 住民票と身分証明書を役所でとった(発行から3か月以内)
- 申請書、誓約書、略歴書を書いた
- ネットで売るなら、ショップを開設して、URLの資料を用意した
- 手数料19,000円と、払い方を確認した
- 許可後にやること(許可番号の表示、古物台帳の準備)を把握した
